Re Another Life

アニメや音楽に始まり哲学など

5ツイート分くらいの『John Wick Parabellum』感想

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後光みたいに銃が並んでるのが面白すぎる

骨董品の銃、ナイフコレクション、乗馬などレトロなモチーフが冒頭を彩る。

 

・肉感的でエロティックなダンサーの肉体と剥がれ落ちる指の爪、美の両極的な性質が1シーンに詰まっている。印象的なシーンだ。

 

・モブは基本的にゴミのように殺されるが肉弾戦に持ち込んだとき、そこには人間対人間のある意味で相手の存在を尊重した戦いが展開される。

 

・ほとんどの銃弾を無効化する特殊部隊の登場には正直笑ってしまった。中盤で敵が硬くなるクソゲーみたいな状況が実写で演じられるのは面白い。

 

・海外における「東洋人」殊に「アジア人」の観念が気になる。ハゲは寿司職人であり、忍者を従え、日本語を喋る日本人として描かれている。しかし、絶望的に日本語が下手だ。

 

これには二つの説が考えられる。一つは下手な日本語ながらもそっちの方が映えるので間違っていると知りながらハゲを採用した説。腹立たしくはあるが納得できる。

 

もう一つはハゲは日本人ではないという説。西洋人を相手取るのに適した日本人を演じるのにはネイティブ日本人ではなく、中国人とかその辺りの方が都合がいいのかもしれない。ハゲの部下たちはおそらくジョンウィックに再見(サイツェン)と言われて戦闘意欲を失している。(中国人と間違われていることにガックリきたのかも知らぬが)

 

・犬たちのキリングマシーンぶりが面白く映った。毎日散歩しているうちの犬とは大違い。

 

・題名通り今作は戦争への備えを用意するチャプターだったようです。用意されたのは動機あるいは仲間、そして敵です。全面戦争となりそうな次回作に期待。

ひぐらしのなく頃に業 第一話の「痛さ」の正体 キャラクターたちの演技感

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ひぐらしのなく頃に業」一話を視聴し、そのあまりの滑りっぷりとイタさに衝撃を受けてこの記事を書いています。「ひぐらし」については最初から最後まで漫画版ではありますが履修済みです。魅音がベッドから這い出て来るシーンがトラウマです。

 

あまりの滑りっぷりに「昔のアニメ版も同じなのかな?」と思い2006年の「ひぐらしのなく頃に」の一話も観てみました。感想としては2006年版も相当滑っていました。しかし、「業」ほどの滑り方ではありません。何が違うのでしょう?2話のネタバレを含みます。3話はまだみていません。

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ホラーにおける ”汚さ” と ”未知” のつながりについて あるいはヒューマンホラーと宗教の関係性について

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ホラー作品を観たりプレイしていたりすると汚さという要素が散らばめられていることに気が付きます。不潔な場所、異形の化け物、血や臓物などがそれです。そう考えると清潔なホラーというのはあまり考えられないのではないでしょうか。そしてホラーの条件には汚さが含まれるのではないのだろうかか?そういった思い付きに端を発した一連の考察のようなツイートをまとめてここに投稿します。当時は考えられなかったことを追記して解説します。画像はGIMPの練習で作った「人を救いたいレザーフェイス」です。

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劣化も無化もせず、ただ積み上がり忘れ去られる映画レビューの繋ぎ止め

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ネットに放り投げた文章は自分で投げたのにもかかわらず、同じ自分が書いた新たな文章の積み重ねによって忘れられ埋もれていきます。それでもデータとしての文章はそのまま残ります。誰にも見られないだけでそこには存在しています。観察されない現象は存在していないのと同じだ、という話もありますが。映画レビュー置き場、第三弾です。しばらくぶりです。前回から5か月ほど経ち、50本ほど新たに観ているようです。

 

ラインナップは『ターミネーター2』『ランボー』『インターステラ』

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Randonautica(ランドノーティカ)のホラーな効能について

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Randonauticaとは

 今海外で「Randonautica(ランドノーティカ)」というアプリが話題になっている。このアプリは現在地から徒歩でだいたい一時間以内で行ける場所をランダムで指定してくる。ユーザーは指定された場所に出かけ探索することを促される、つまりは「お散歩アプリ」だ。「日常を離れて冒険する」というのをコンセプトに開発されているようだ。

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西谷啓治 西田哲学をめぐる論点(1936) 山内、高橋、田辺の西田哲学批判を通して

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「西田哲学に対する有力な批判の二、三を取り出し、両者の相折衝する場面をなす若干の論点を、一応、問題論的に検討してみるのが、この小篇の意図である」(p.164)

 

この論文「西田哲学をめぐる論点 —山内、高橋、田辺諸博士による批判の考察—」(1936)は上にある通り西田哲学への批判を通して、その問題点を探っていこう、という趣旨のものです。西田哲学だけでなく、ヘーゲル、京都学派の田辺元などの思想に触れられるお得な内容です。(引用ページ数は『西田哲学選集 別巻二 西田哲学研究の歴史』燈影舎に依る)

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狂ったスタローン 『ラストブラッド』

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ランボー』から38年、前作『最後の戦場』から12年の時を経てランボーシリーズ最新作にして完結作『ラストブラッド』が日本でようやく公開された。

 

ランボシリーズはPrime Videoに追加されたことをきっかけに全過去作を予習して映画観へと向かった。自分を含めて観客は10人もいなかったように記憶している。

 

そして肝心の映画の感想はというと「超面白かった」に尽きる…というと嘘になる。もちろん面白かったのは間違いない。しかし、その面白さはかなりの背徳感を伴って感じられた。

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