Re Another Life

アニメや音楽に始まり哲学など

イミテーションゲーム 唯物論への入り口

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今回の記事は視聴直後の感想書きなぐり、というスタンスを取る。正確に調べる必要がある情報や概念についても触れるので、見解がふわふわしていたり、論理の導く先が間違っているかもしれないが、そこはご勘弁を。

 

 

主人公のアランチューリングは天才なのだが他人の心中を察する能力が極端に欠如している。そのため仲間には嫌われ恋人(?)にも思い一発を食らってしまう。

 

加えて同性愛が禁忌と見られていた時代に同性愛者だったのだから自己に対する悩みは絶えない。

 

アランは同性愛の容疑で逮捕された際、尋問に来た刑事に国家機密であったエニグマ解読の事実と彼のストーリーを打ち明け尋ねる。

 

「僕は人間なのか?マシンなのか?」

 

人間と機械は違う考え方をする、しかし人間も他の人間とは違う考え方をする。ここに違いはないという考えを提示する。

 

脳細胞だろうがネジだろうが物質が違うだけだというのだ。ここには決定的に唯物論への偏向が見られる。

 

唯物論というのは圧倒的に正しく聞こえる。現実が付いてくるからだ。エニグマの解読器も「解読」という目に見える事実のみが重視されたわけだ。アランがエニグマを打ち倒すために「人間よりも計算が早い機械を作る」という手段は人間の脳みそと機械を並行的に扱う態度に他ならない。

 

アランが自殺したことも映画は同性愛治療のための強制的ホルモン治療と関連づけていた。とことん唯物論的な作品である。

 

しかし本当に唯物論はこの世の真理なのだろうか?この思想を打ち砕くのに必要なものもまた論理である。

 

観念論、言葉が現実を作るという思想、心身二元論……

 

結局ごちゃごちゃした纏まりのないものになったが、やはりその時の勢いを書き起こしておくというのは重要なことだと感じる。

 

映画としては心惹かれるメインテーマと幾重にも重なった副次的な要素が期待通りに機能する心踊る素晴らしいものでした。おすすめです。