Re Another Life

アニメや音楽に始まり哲学など

フェミニズムをめぐるネットの議論がなぜ不毛なのか

ネットにおけるフェミニズムをめぐる言説は両性同士のフォビアの道具に終始している。異性のいずれかを悪者にするこの対立はフェミニズムなどではない。

 

フェミニズム社会学という立派な学問領域に属するものとして議論されているのであって、ネット上の彼らはなんの専門知識も持たずにただ感情だけで相手に罵詈雑言を投げかけているに過ぎない。

 

そもそもフェミニズムは男女同権論と訳される。これは互いの性の違いを許容し、その上で平等な関係を築くことを目指す。一方の性を貶し、悪者に仕立てようとする現在のネットの議論は男性側、女性側問わずあまりに不毛である。


先に述べたようにフェミニズムとは本来学問の領域で語られるもので、その手の本の一冊も読んでいない「学のない」人間の声が大きいのを見るとほとほと辟易してしまう。

 

「学」のないというのは学歴がないのではなく、「学び」がないのである。「学び」がないとは自分の極小の知識を普遍的に正しいと思い込み、新たな知識を手に入れようとしない事を指す。


専門の本を読まずに専門分野を語る事ができると思うのが恥であるように、フェミニズムの知識を持たないままフェミニズムを語る、貶すこともまた恥である。

 

もちろん僕もフェミニズムは専門領域ではないため上記の説明にも間違いは含まれる(第一波、第二波の違いなど)と思うが、それゆえに学びの日々である。

 

難しいことは言っていない。フェミニズムには蓄積された歴史があり、議論があり、論理がある。それらをすっ飛ばしてフェミニズムを語れている、又は貶せていると思い込むことは愚かである。そしてそれがネットにおけるフェミニズムを取り囲む現実である。

 

自身が絶対的に無知であること忘れないで生きていきましょう。紀元前から言われてることっすよ……

でびっち追悼配信分析 恐怖とでびでび・でびるの実在

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2020年2月7日23時、予定を一時間遅らせて、でびでび・でびる(敬称略)のチャンネルで「でびっち一周忌 追悼特別番組」が放送された。そも、でびでび・でびるとは何ぞやと思われるかもしれないが、そこはこの記事の前提知識として持っていることを想定して書く。「でびっち一周忌 追悼特別番組」の感想とその分析を行うのが主眼である。考察ではない。

 

感想という形をとるが心情としては批評に近いものがある。なぜなら今回の放送は「作品」と呼ぶのにふさわしいものだったからである。

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人は真夜中に飲み会を抜け出すと「おばけ」になる

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2019年年末のある日の夜、僕は飲み会がつまらなさ過ぎて途中で離脱し街をさまよっていた。真夜中の午前二時、家に帰る手段はない。冷たい風と雨をしのぐため静まり返った街を歩く。しばらく滞在できる場所を探しているとだんだんと二つの事実に気が付いてきた。

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『パラサイト』好きなシーン

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先日2020年1月10日に日本で一般公開された『パラサイト 半地下の家族』(韓: 기생충)を観てきたので良かったシーンを挙げる。映画評のようなものを書こうとしたが「そんな単純なものじゃないだろう」と挫折したのでこの単純な投稿に至る。ネタバレはある

 

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明けてますよ2020年 勉強は本当に「良い」のか

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既に年が明けて5日。皆さんはなにをしていましたか。普段時間がなくて読めない本を読んだ?ゲームをした?映画を観た?ちゃんと文化的な生活を送りましたか?

 

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弱い『ジョーカー』と弱い私たち

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本国での上映前には映画館の前に警備員が配置されたという『ジョーカー』。劇中の「ジョーカー」に共感し、暴力が誘発されるのではないか、というこの懸念は、作品の核をそのまま表わしている。

 

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民俗学的な道化(フール)としての『ジョーカー』

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本稿は映画『ジョーカー』に登場するアーサーという人物がいかに民俗学的な道化という枠で振る舞っているのかについて考える試論である。参考文献としては『道化の民俗学』『道化と笏杖』を主とする。気になった人は自分で読んでみてほしい、良書。

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