物語シリーズの一応の終わりである終物語を見ました。ネタバレ当然有り。
物語シリーズとは、非常に冗長な会話シーンを、不可思議な背景でお送りすることを主とするアニメです。会話が主というのは珍しいもので、その人気には魅力的なキャラクターの存在が不可欠でしょう。
僕自身もそのキャラクターの魅力に引っ張られたというケースです。物語シリーズというのは作者が自由に書いているだけに面白さの振れ幅が大きいのです。
終物語ではそのかわいいほっぺを晒すのに出番をとどまった斧乃木余接ちゃん。大丈夫、彼女が主役の続編は既に書かれている。
さて、後日談というか今回のオチ、は主人公アララギくんの「自分を大切にする」という形での成長を描いているということになるのでしょう。
「自己を罰する自己」を作り上げるという自己乖離、それこそが忍野 おうぎでした。物語シリーズというのは普通の人間ならば語り足りないと感じる箇所を放置していました。
「羽川さん可哀想じゃない?」「なでこはあれでいいの?」「結局しのぶと馴れ合ってるじゃん」
そんな引っ掛かりを語らずにきました。それはそうです。この物語の語り部はその取っ掛かりを誰よりも強く感じる「阿良々木暦」なのですから。
換言すれば語られなかったアララギくんの思いこそが「忍野 おうぎ」として具現化したのです。自業自得というか当然の成り行きというか。
認知されなくなった怪異は存在しないのと同じように、語られなかった物語は闇の中に消え去ります。
阿良々木暦が語らなかった「忍野 おおぎ」が暗闇に呑まれるのはごく自然なことなのです。
しかし、いえ、だからこそ阿良々木暦は「忍野 おおぎ」という怪異を救います。それは「自分を救う」「自分の物語を救う」ことと同義だからです。
これが終物語における、そして物語シリーズにおける「自分を救う阿良々木暦」という終わりなのです。
最後に。やはり、というか実は学園モノ。卒業式という舞台装置はこの奇妙で歪な物語をキッチリ締めてくれました。 おめでとう!