Re Another Life

アニメや音楽に始まり哲学など

哲学の歴史を追う 神話知と哲学知 哲学の起源

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現在進行形で学んでいる哲学史をキリのよい個所まで短くまとめて記事にしてみようと思います。説明を端折っている部分が殆どなので、もっと詳しく知りたい方は哲学の歴史(中央公論新社)シリーズを参照してください。また用語は岩波哲学・思想辞典を参照しています。哲学史を学ぶのによい書籍があるよ!という方はぜひご教授ください。

今回扱うのは最初の哲学者と呼ばれる「タレス」を…と言いたいところですが、まずは自然哲学者と呼ばれる彼らの思想のルーツに突っ込んでみたいと思います。

 

そもそも「最初の哲学者」なんて言われていますがこの前提がかなり怪しいものとされています。これには2つの理由があります。

 

1つ目は簡単な発想ですが書物に残っていないタレス以前の哲学者がいたかもしれないという理由です。仮にタレス以前にこの世の真理の一切を発見した思想家がいたとしても記録に残っていなければいなかったも同然です。

 

2つ目の理由は思想が急に生まれてくるはずがないという理由です。0から1が生まれないように新しい発想というのは既存のものから生まれます。タレスは決して0から1を作ったのではなく1から2を作ったのです。

 

ここでタレスの「水」の思想を見てみましょう。タレスはこの世の万物に通じる性質に「水」の存在を見ました。生きているものには潤いがあり死んでいるものには乾きがある。

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この「水」の思想、エジプトやバビロニアに一般的だった新創世神話を観察することによってその意味を検証しようとしたのです。

 

つまり先ほどの例に当てはめると発想の基盤である1には「神話」が当てはまることになります。そう、神話こそ哲学の先駆けであったのです。

 

我々は大昔の人間となると「科学を知らない無知蒙昧な人々」というイメージを抱きますがタレスの思想というのは正に自然科学的立場に立った観察の賜物ではないでしょうか。奴隷に労働をすべて任せ暇を尽くした彼らを舐めてはいけません。

 

これで一応の哲学のルーツはつかめました。いや、「その前は?その前は?」と聞かれると無限後退に陥ってしまうので勘弁してもらいたいですが。

 

次に取り上げるのはアナクシマンドロス…と行きたいところですが今度は具体的な哲学の発生状況というのを説明して終わろうと思います。

 

哲学は周囲の影響を受けやすいイオニア地方で起こりました。そんなイオニア地方に「あるもの」が伝わったこと、これに哲学の源流を求めることができます。

 

そのあるものとは

 

文字です。

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母音を持つ文字が発明されたことで自分の所有を表す印、すなわち名前を彫ることが可能となりました。大勢のうちの一人の視点から歴史を語る叙事詩は自己の感情を語る抒情詩へと発展し固有の自己による自己表現が「知的好奇心」を人類のうちに初めて宿します。

 

突然ですが「哲学」という訳語は完全に誤訳である、という話があります。正しくは「愛知」であったり「希哲学」なんていうそうですが、この知的好奇心という段階ですでに「知を愛している」「哲(賢)を希んでいる」という点で哲学の発生だなあ、と納得することができますね。

 

今回はここまで