高校で唯一好きだったところ
久し振りに地元のバスに乗ったところ(著しく美化された)高校時代の思い出が蘇ってきたので書きます。
僕は基本的に学校が嫌いで病院に行くと言ってそのまま街をぶらついたり、休みがちであったりした。そうなると既に授業が始まっている時間に登校したり早退するということも少なくなかった。
その登校、早退時の学校の雰囲気が僕は大好きだった。特に天気の良い夏の日がいい(教室の窓が開いているから)。その人口密度に対しておよそありえない静けさの中には、ピンとした教師の声と爽やかな風が木々を揺らす音しか存在せず、なんだか不思議で愉快な雰囲気だった。
ただ静かなだけではなく、そこには無数の生徒の存在感があるのが面白い。押し黙ってはいるが気配は感じる。この教師の声、自然の音、生徒の気配という有形、無形問わない要素の絡み合った空間が僕は大好きだった。
高校を卒業した今となってはあの異様な雰囲気を味わうことができない。授業など無視してあの空間にただ座っていれば良かったと今更ながら思わずにはいられない。もしこの文章を読んでいる高校生(中学生でもよい)がいれば嫌いな授業でも跳ね除けてあの空気を楽しんでほしい。機会は今しかないのだ。