先日2020年1月10日に日本で一般公開された『パラサイト 半地下の家族』(韓: 기생충)を観てきたので良かったシーンを挙げる。映画評のようなものを書こうとしたが「そんな単純なものじゃないだろう」と挫折したのでこの単純な投稿に至る。ネタバレはある
ちなみに映画評についてはハリウッド映画と対比した時に浮き出る『パラサイト』の人物の「静」から「動」への躍動(過程を飛び越えるというニュアンス的には昇華)について語ろうとした。またここから書こうとしたが書けないので好きなシーン語りへ移る。
・半地下からWi-Fiを探すシーン
タダ乗りしているWi-Fiにパスワードが設定されてしまい使えなくなったシーン。必死に電波を探す姿はガラケーを掲げて電波を探す前時代的な光景と重なる。貧しさは前時代的な不便さにつながる。
・家庭教師としての初授業のシーン
急に脈拍を見られ、いい感じに論理的なことを言われると惚れるか、ドン引くかのどっちかですよね。その後の流れるような恋人関係形成シーンも良い。友情はどこへ。ピザ屋のバイト面接も簡単にすっぽかしていたし人情の無さもサラッと演出される。
・英語の家庭教師としてのpretendの登場
昨年流行ったofficial髭男dismの「Pretender」が頭に浮かびました。「あれの撮影地は台湾だ」というのはごもっともで、僕の雑多なアジア理解に起因していることは否めない、のさ〜。
・大雨の中トイレの上でタバコを吸うシーン
これはもうこのシーンを切り取って見ても「良い」シーンです。勝手な物言いだが「暗がりのエモ」という集合的無意識が体現されたシーンと勝手に思っている。
「ポジティブなマインドから本当のエモは生まれないんだよ」
・「桃」のシーン
あそこだけハリウッドスパイ映画でしたね。3回目の桃のシーンとのスマートさの落差も面白いです。
・元家政婦雨の中の訪問シーン
このシーンは作中でもかなり印象に残っています。インターホン(カメラ)越しに見える元家政婦の顔がなぜあんなに不気味に笑っているのか。映画を観た後になってようやく彼女は「笑うしかなかった、笑ってしまっていた」という事に納得がいきます。すごいよ。
今回はあまり挙げませんでしたが『パラサイト』は1シーン1シーンが非常に「画(絵)になる」作品でした。それはハングルが読めない私に冒頭のポスターがこの映画の魅力を雄弁に語ったように、言語的なものを超えた魅力をこの作品は見せてくる。フォトジェニックと言うと陳腐に聞こえるかもしれませんが、映画の強さはやはり構図の良さです。
そんな視覚的な魅力を文章で伝えるのは私には難しいので、やはり「観て」と言わざるを得ない。そして既に観た人には(視覚的な魅力については)「良いよね…」という共感の言葉で締めたい。