Re Another Life

アニメや音楽に始まり哲学など

人生における名作を見つけることの難しさ 三つの要素

人間なら誰しも「人生でこれだけは見ておけ、読んでおけ」という作品があります(無い人はさようなら)。本記事では僕が見つけた人生の名作三つを例にとって「如何に名作に触れられるか」と言う事を考えていきたい。

 

  • 運、偶然

僕が最近見つけた「人生の」作品は『ダンスダンスダンスール』というバレエを題材にした漫画です。

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バレエをまともに見たことがない自分の脳内で紙とインクだけで描かれた絵が光を放つ。脳内が痺れ、確たる理由のない涙が上がってくる。すごい漫画です。

 

この漫画を読んだのは本当に偶然です。バレエになんて一片の興味もなく、むしろ我が人生になんの関係も持たないものと認識の外側へと切り捨てていました。私たちが如何に早く消費しても溢れる供給がなされる娯楽の時代です、名作にぶち当たるには運が必要だと言うことがわかります。聞こえが良いように言うと運命です、運命力上げていきましょう。

 

  • 古典

次に僕が見つけた魂の名作は『カラマーゾフの兄弟』です。この作品については当ブログでも熱っぽく語っているので省略。この例示から分かることは「既に高い評価を受けていて尚且つ現代にまで残っている」作品を探すこと、つまりは「古典」に当たるのが良いと言うことです。

 

特にドストエフスキー識字率が10%にも満たない当時のロシアで書かれたと言うのに現代に残っているという驚くべき実績を持っている。残念な点としては当時の宗教観、社会情勢、習慣等といった要素を完全にはカバーできずに読むことになると言う点。どうしても理解に届かない箇所が出てくるのも必然です。

 

  • 体力 、忍耐力

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キューブリックが監督を務める『バリー・リンドン』は3時間23分の拘束を求める時間泥棒だ(途中で休憩(intermission)が入るくらい)。人物、風景、音楽どれを取っても美しさの最高峰で誰もがこの世界に魅了されるに違いない、それに見合う体力を持ってさえいれば。

 

もしも『バリー・リンドン』を体力切れにならず視聴し、これぞ人生の名作であるとなったとしよう。しかし、それでも人生は続くし、また新たな名作を見つける必要を人は認める。だがすぐには動き出せない。たった今から全く新しい作品に触れるなど体力が許すわけがない。何よりこんな素晴らしい作品には余韻に浸るための時間が必要であろう。作品は消費するものではなく、自分の中で消化すべきものなのだから。

 

1週間に10本も映画を見ると言う人間、あなたは映画好きではなく映画ジャンキーである。あなたは映画を自分の中で消化しようとはしない、映画を見ているその瞬間の刹那的な快感に酔って消費しているだけであると。

 

名作を見つけるには作品に触れるしかない。しかし、その見定めには途方も無い時間と体力が要求される(時にはお金も)。

 

  • 終わり

短い人生と比較すれば作品の数は無限に近く、体力はそれ以上に有限です。「偶然」「古典」「体力」これら三つの要素(むしろ制限とも言えてしまう)をうまく利用し、あなたの人生における名作を探しましょう。そして幸運にも「これだ」と言うものが見つかったら僕に教えてください。