書きなぐりなので順番などめちゃくちゃになっている可能性が大いにありますがご勘弁を。
1.
僕はアメリカンビューティーのネタバレをかなり以前から知っていました。レスターが娘の友人に惚れることを、リストラが重なって彼の生活が変わることを。
そして彼が死んでしまうことも。
だからこそ僕は最後のあのシーンで例を見ない不安感を、焦燥感を隠せなかった。
アンジェラ「あなたは?」(娘が幸せかどうか聞いて満足したレスターに対して)
レスター「そんな質問は何年ぶりかな」
………
沈黙
僕は焦った。この間に、彼がその答えを口にする前に銃声が鳴り響いたら一体どうしようかと。
彼の人生は一体どうだったのだろう。たった一つの銃弾でそれが無に帰すのだ。少なくとも僕にとっては。
だがレスターは答える
「Im great」
安堵そして感動。その重みのある言葉、多くを語る必要を感じさせない表情で。
2.
レスターの妻であるキャロラインという女性について
彼女ははっきり言って病的である。上昇志向の強い彼女はとにかく自分に厳しく当たる。
人前で涙を流すことを決して自分に許さず、それでいて他人の名言という宗教にいつも縋っていなければ生きていけない。
人に甘えず、人の言葉にすがる。自分に厳しく、自分を甘やかす。
この矛盾は人の二面性をありありと描いている。だが矛盾の何が悪いのだろう。
彼女はただこの二極の真ん中を、中庸を知らなかっただけである。
「涙は人に見られて初めて涙になる」それだけを知っていれば、もしくは思い出していれば。
3
アメリカンビューティーの視聴後、僕は何というかこの作品に漠然とした主張を見つけるに至った。
「何も悪くないんだよ」
ドラッグも喧嘩もセックスも浮気もゲイもサイコもビッチも性欲も死も。
「それらはすべてビューティー(美)なんだから」と。
なぜそう感じたのかという要素は多くあるがリッキーの行動がその最たるものである。
彼は多くの変なものに美を見出す。あれも美しい、これも美しいと。
そしてレスターの死体を見てにっこり微笑むのだ。まるで「よかったね」とでも言うように。
レスターは物語をこうしめる。
「僕が何をいっているのか今はわからないかもね。
でも大丈夫。きっといつかわかるから」